Tag Archives: 中原中也

帰郷

帰郷 – 中原中也

柱も庭も乾いてゐる
今日は好い天気だ
縁の下では蜘蛛の巣が
心細さうに揺れてゐる

山では枯木も息を吐く
あゝ今日は好い天気だ
路傍の草影が
あどけない愁みをする

これが私の故里だ
さやかに風も吹いてゐる
心置なく泣かれよと
年増婦の低い声もする

あゝ おまへはなにをして来たのだと……
吹き来る風が私に云ふ


 

归乡

柱子与庭院都干燥着
今日是个好天气
房檐下是蜘蛛的巢
不安地摇晃着

山里的枯木也吐出了气息
啊 今日是个好天气
路边的草影
无心地犯着忧愁

这便是我的故里
明亮的风也吹拂着
安心地哭泣吧
此时传来中年妇人的低声

啊 你来这里做什么……
吹来的风向我语道

六月の雨(六月的雨)

六月の雨 - 中原中也

またひとしきり 午前の雨が
菖蒲のいろの みどりいろ
眼うるめる 面長き女
たちあらはれて 消えてゆく

たちあらはれて 消えゆけば
うれひに沈み しとしとと
畠の上に 落ちてゐる
はてしもしれず 落ちてゐる

お太鼓叩いて 笛吹いて
あどけない子が 日曜日
畳の上で 遊びます

お太鼓叩いて 笛吹いて
遊んでゐれば 雨が降る
櫺子の外に 雨が降る


六月的雨

又一阵午前雨
颜色是菖蒲色的绿
眼中含泪的长脸女人
出现在眼前 又渐渐消失

出现在眼前 又渐渐消失
令人陷入忧愁 淅淅沥沥
雨在田地上落着
没完没了地落着

敲着太鼓 吹着笛
星期日里无忧无虑的孩子
在田地上游玩着

敲着太鼓 吹着笛
游玩的时候 雨正下着
窗格子外 雨正下着

春の日の夕暮(春日傍晚)

春の日の夕暮 – 中原中也

トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は穏かです
アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は静かです

吁(ああ)! 案山子(かかし)はないか――あるまい
馬嘶(いなな)くか――嘶きもしまい
ただただ月の光のヌメランとするままに
従順なのは 春の日の夕暮か

ポトホトと野の中に伽藍(がらん)は紅(あか)く
荷馬車の車輪 油を失い
私が歴史的現在に物を云(い)えば
嘲(あざけ)る嘲る 空と山とが

瓦が一枚 はぐれました
これから春の日の夕暮は
無言(むごん)ながら 前進します
自(みずか)らの 静脈管の中へです


春日傍晚

白铁皮吃着仙贝
春日的傍晚是平稳的
受到一记低手投球的灰变作青色
春日的傍晚是安静的

呜呼!没有案山子(稻草人)吗——或许没有
马嘶鸣吗——似乎也无嘶鸣
只有、只有月光持续滑腻灿烂
如此顺从 是因为春日的傍晚?

滴滴答答的野原里伽蓝(寺院)发红
运货马车的车轮 没了油
要我对过去进行着的事物说点什么
那是嘲讽、嘲讽 天空与山与…

瓦片一枚 已被揭下
此后春日的傍晚
在无言里前进
朝着自身的 静脉管之中

桑名の駅(桑名的车站)

桑名の駅 – 中原中也

桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ鳴いていた
夜更の駅には駅長が
綺麗な砂利を敷き詰めた
プラットホームに只独り
ランプを持つて立つていた

桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ泣いてゐた

焼蛤貝(やきはまぐり)の桑名とは
此処のことかと思つたから
駅長さんに訊ねたら
さうだと云つて笑つてた

桑名の夜は暗かつた
蛙がコロコロ鳴いてゐた
大雨の、霽(あが)つたばかりのその夜は
風もなければ暗かつた

「此の夜、上京の途なりしが、京都大阪間不通のため、臨時関西線を運転す」


 

桑名的车站 – 中原中也

桑名的夜晚真暗哪
青蛙呱呱地叫着
深夜里车站的站长在
往地上铺满漂亮的碎石
站台上只身一人
拿着煤油灯站立着

桑名的夜晚真暗哪
青蛙呱呱地哭泣着

说起“桑名的蛤蜊”(*1)
那不正是此处吗
站长听我这么说
“是啊”地说着笑了

桑名的夜晚真暗啊
青蛙呱呱地叫着
大雨初停的这个夜晚
风也若无似的真暗哪

(此夜是上京途中,然而因京都大阪之间交通不通,开动临时关西线)

*1:烤蛤蜊是桑名的特产,去桑名吃蛤蜊是不会错的。在江户时代的落语里有了“その手は桑名の焼き蛤”意即“不会上当受骗”这样的俗语。

汚れつちまつた悲しみに(在被弄脏的悲伤中)

汚れつちまつた悲しみに – 中原中也

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の革裘
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかってちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる……

—————————————————————-

在被弄脏的悲伤中 – 中原中也

在被弄脏的悲伤中
今日小雪也降了下来
在被弄脏的悲伤中
今日也连风都吹得厉害

被弄脏的悲伤是
譬如说狐狸的革裘
被弄脏的悲伤是
在小雪下蜷紧了身体

被弄脏的悲伤是
什么都不期望也无愿望
被弄脏的悲伤是
倦怠里做着死了的梦

在被弄脏的悲伤中
凄惨可怜又胆战心惊
在被弄脏的悲伤中
什么都没做日已垂暮……